令和 7年 12月 29日 ”ナンシーおじさん”
最近・・・”ナンシーおじさん”なるものを知りました。「何それ?」という方はこちらの動画を観るのが一番手っ取り早い。ツーリング先、初対面でもお構いなしに”バイク排気量”で”マウントを取る”おじさんの総称らしい。
「このバイク何cc?」はバイク乗りの間では割と良くなされる会話です。特に免許制度と排気量が厳格だった時代を過ごしてきた年配世代にとっては、車種以前に「小型」「中型」「大型」の大項目でまずバイクを分類する習性があったりするので、いきなりこの質問になる人もいるようです。
免許は教習所で取れるし、バイクの楽しみ方が多様化している今時の若い世代にとって排気量は大項目では無く一要素にすぎなかったりします。そんな若い世代に向かって初対面、挨拶もそこそこにいきなり「排気量」、「大型バイク」の良さを一方的に演説すれば、そりゃ〜
「何やこのオッサン偉そうに、どっか行ってくれ」 ・・・ってなるのも無理はない。
私も何度かこの枕詞でお声掛け頂きました、実は私”ナンシーおじさん”それ程嫌いではありません。少し彼らのフォローしておくと・・・。私個人の勝手な分類で恐縮ですが、彼らには「草食系」と「肉食系」がいます。
大多数の「草食系」ナンシーおじさんは・・・排気量大小関係なく「何cc?」が挨拶。まだまだ割合が少ない若者や女性ライダーがいると応援したくなる、声を掛けたくなる。”バイク仲間”と話が出来るのが嬉しくて、自分が夢中になっている事を一生懸命話をする。相手をマウントする意図は無くて、でも結果的にシチュエーションによっては自慢話になってしまっている・・・という構図です。
「草食系」ナンシーおじさんの話は本質に耳を傾けてみると、実は他では聞く事が出来ない面白い話だったりします。「草食系」のおじさんがブロガーやYouTuberである確率は限りなく低いので、彼らの話を聴ける機会は直接お会いするしかない、それは多分宝くじモノです。もし御自身に時間と気持ちの余裕があるのであれば、きっと激レアな会話ができるはず。新しい気づきや発見があるかもしれません。
途中で面倒臭くなったり時間が無くなったら「じゃ!お気をつけて」とさっさとバイクに跨ってしまえば、相手は笑顔で「おっ!気をつけてな」と言って見送ってくれます。私がお会いしたナンシーおじさんは優しくて不器用なこのタイプの「草食系」である事がほとんどでした。
まあ・・・普通に考えれば道の駅なんかで、いきなり初対面の女性に話しかける事自体がイレギュラー、街中でそんな事なかなかできませんよね(笑)。「草食系」おじさんに一言。声を掛けるのであれば、普段以上に相手への気遣いは必須ですよ。
一方で・・・世の中には残念ながら、「排気量」が「大型免許」が、「テクニック」や「速さ」が”偉い”と思っている「肉食系」ナンシーおじさんが一定数いるのも事実です。
マウントされた訳ではありませんが。だいぶと昔、とあるツーリング昼食場所で”限定解除”の話題になりました。「限定解除が偉い、大型が偉い、っていう人、未だにいますよね〜」と何気に話題を振った方の顔が一瞬で強張って、会話が途絶えました。毎週末峠朝練、参加者バイクのタイヤを見比べて「この人やっぱタイヤ端まで使っている、凄いわ〜!」と論評する方でしたから、話題の振り方が失敗でした。当然の如く、その後二度とご一緒頂ける事はありませんでした。
バイクを単なる”乗り物”以上の存在として大好きな人であれば。程度の差はあれ誰しも「自分の格好良さ」を持っているはず。それはライダーの数だけ千差万別。
・・・先日、とある道の駅で私と同じバイクを格好良くカスタムした方が駐車場に入ってきました。「おっ!ZZ-Rや!」と注目したのも束の間。廻りに沢山車やバイクがいる手前で”ギュッ!ギュッ!”と大袈裟な切り返し+ブレーキをさせて停車。その余りの格好悪さに幻滅、同じバイクに乗っている人と思われたくなくてその場から離れました。
・・・先日、とあるバイクYouTuber対談で「バイクの取り廻しひとつで、指導的コメントが届いて”めげる”」というお話を聞きました。なるほど世の中には立ちゴケなどは絶対にせず、取り廻しもバイク屋のようにスマートを常とする。そんな美学を誰かと共有したくて仕方が無い人がいらっしゃるんだなあ。そんな方々からすると東名高速で停まってしまう整備不良、恥ずかしげもなく立ちゴケを披露してしまう私如きは一刀両断されるな。SNSやってなくて良かった〜。
駐車場でバイクを動かす時もUターンでも、跨って足を使いながら「うんしょ、うんしょ、」とスリ足移動やってます。その方が遥かに安心安全だから。それだけやっていても250kgもあるバイクが取り廻しでバランスを崩す事は必ずある。無理やり踏ん張って怪我する位だったら立ちゴケさせたらええやん、と思ってます。その一方で走り出せば何よりも”コケない事””事故にならない事”を最優先。高速コーナーは怖いし、スピードが乗ったヒラヒラ/華麗なすり抜けもしません。別にそれで”ええやん”。バイクは走り始めたら基本”自分一人”。人様に迷惑を掛けないのは大前提で、ライダーの数だけ自分がスタイルがあって良い。
自分の”格好良い”を貫く事自体は大いに結構。”大排気量”にプライドを持つ気持ちも理解できなくはないけれど、それは自身の中で誇りとして持っておけば良い事であって。大多数の人にとってどうでも良い事を
”初対面の人に” ”聞かれてもいないのに””延々と” ”上から目線で” 語る事自体が「他人に押しつけんじゃねえよ」。
(漫画”キリン”)
「排気量」については私見を一言。大型バイクに乗り換えて30年経ちました。「排気量が大きいバイク」ならではの面白さは勿論あります。特に”遠くまで行く”相棒としてZX-11は頼もしいし面白い。反面、ワインディングだったり取り廻しだったり燃費だったり「排気量が大きい」為に犠牲になっている事も沢山あります。私が大型に乗り続けているのは愛車がZX-11だから。排気量はバイク選択の要素の一つですが、小型〜中型〜大型それぞれに面白さがあって、どこに楽しみを見出し重きを置くかは人それぞれでしょう。ちなみに・・・私はZX-11を降りる事になったら「バイクも降りる」可能性が高いのだけれど、敢えて乗り続けるのであれば多分排気量は落として、400〜600cc前後のツアラーを選ぶかな。
(漫画”キリン”)
最後に・・・「キリン」 の東本昌平氏作品 「RIDE」 のこんな章を御紹介。ZZ-R1100C型フルカスタムを乗りこなす主人公、亡きライダー仲間の七回忌にバイクで参加。そこの娘が乗り手を無くしたZZ-R1100D型を披露します。「パパのバイクに乗るんだ」と言う娘、しかしながら仲間達は良い顔をしませんでした。
(オートバイ”RIDE”)
諸々の出来事があって、結局最後は娘がバイクに乗るのをサポートするようになって話が終わるのですが・・・。私が思う格好良いライダーは、軽々に初対面の人に、「バイク」を「大型」を”一方的”に勧めたりはしないはずで、自分の価値観を大事にするのと同じ位に、相手の価値観を大事にする人です。